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バーチャルヒューマノイドの開発(2)

ROBODEX2000は2000年の11月24日(金)~26日(日)にパシフィコ横浜で開かれている。それまでの主として大学の研究成果を展示する小規模なロボットイベントと違い、ソニーからQRIOの前身にあたるSDR-3Xが展示されるなど、企業を巻き込んで現在まで続く「ロボットブームの日本」を内外に決定的に印象づけたイベントである。

一般に、大学の研究者はビジネスの話が苦手である。会社で働いた経験がない人が大半でバックグラウンドとなる知識がないため、そんな話は企業の人に考えてもらった方が絶対に確実であると信じている。ROBODEX2000で企業が出展したロボットを見るまでは、自分もそう思っていた。ところが、 実際に企業の展示を見ていくうちに、すでに発売されていたAIBOでさえ商品企画に欠陥があることに気がついた。具体的には以下の3点である。

  • 商品としてのバリューをロボットというものの目新しさに頼っているので、普及するにつれて、商品としての訴求力が消滅する。
  • 買い手に飽きられず長く愛されると、新型への買い換えが進まない。
  • ハードを売るビジネスのため、売った後でオーナーから継続的に収益を上げる仕組みが無い。

会場に展示されたロボットの多くが同じ問題を抱えていることは明らかで、帰りの新幹線でもこのことが頭から離れなかった。 夜に大学の研究室に戻って学生に自分の考えを話したが、もちろん、そこですぐにアイディアが返ってくるわけではない。
(「商品価値をハードの新規性に頼ることから脱却する方法は?」)
(「過去に、そういう商品はなかっただろうか?」)

良いアイディアが閃いたときは、脳天を貫かれたような感覚がある。研究室の無停電電源装置の上に、壊れたまま放置されたビデオデッキが目に入った瞬間にそれはやってきた。現在私が講演などで話しているコンテンツビジネスを前提としたバーチャルヒューマノイドの構想は、この瞬間に骨格が固まったと言って良い。凄まじい勢いで頭の中にパズルのピースが組みあがったので、その間ほとんど口が利けなかったほどである。このアイディアには大事に育てる価値があることには確信があったが、同時に今すぐ理解できる人は少ないようにも思えた。結局、その後一年は特許の可能性を相談した弁理士以外の誰にも話さなかったように記憶している。

バーチャルヒューマノイドの開発(3)に続く

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最終更新時刻2007 年 08 月 03 日,02:24 PM